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2001年10月24日

 
 
固体高分子型燃料電池用の軽量・低コスト金属セパレーターを開発
−家庭用分散電源システムに適用めざす−

 
次世代スタック・コンセプトモデル

 

  日立製作所 日立研究所(所長:児玉英世)は、このたび、固体高分子型燃料電池(PEFC)の軽量化と低コスト化を図るための金属セパレーターを新に開発しました。開発した金属セパレータを用いた単電池の発電試験では安定した性能を確認しております。この金属セパレーターを用いて1.2kW PEFCスタックのコンセプトモデルを試作し、従来材料を用いたセパレーターに比較して大幅な軽量化が可能であることを確認しました。


■技術の詳細
  セパレーターは、PEFCに供給する水素と空気を隔てる隔壁の役目を持つ重要な部品です。現在、セパレータには合成黒鉛や黒鉛と樹脂を混合した材料が使用されていますが、材料として金属が使用できれば、生産性が大幅に向上しコストを低減できると期待されています。しかし、電池環境下では多くの金属はそのままでは腐食してしまうため、金属の耐食性をいかに向上させるかが大きな課題になっていました。
  今回開発した金属セパレーターは、日立電線株式会社、日立金属株式会社、日立粉末冶金株式会社など日立グループ企業が製造する機能性材料や加工プロセスをベースに、日立研究所がPEFCに適したセパレーター構成と構造を設計、製作したものです。開発したセパレーターは、1)高い耐食性、2)良好な成型性、3)電気導電性、4)低コスト化を同時に実現するため、鉄、銅などの表面に耐食性の高い特殊金属を形成したクラッド薄板を採用しました。この薄板をプレスによりセパレーターの形状に成型し、さらに耐食性と導電性を有する塗料を一部分に塗ることで耐食性能を向上しています。セパレーター1枚あたりの重量は、黒鉛と樹脂を使用したセパレーターに比較して約1/2まで低減できました。
  単電池を作製しその性能を評価した結果、1000時間の連続発電でも安定した性能を維持しています。今後、単電池を積層した電池スタックでの発電試験を計画していますが、それに先立ち試作した1.2kWスタック(コンセプトモデル、定格60V、20A)では35%(当社従来比)の重量低減が期待できることが分かりました。

  軽量で低コストな金属セパレーターは、現在当社が開発を進めている家庭用、業務用の定置型分散電源システム用のPEFCとして有望な材料と考えています。また大幅な軽量化が図れることから電気自動車用PEFCへの適用の可能性もあると期待されています。 なお、本技術は10月24日から幕張メッセで開催される東京モーターショーで展示します。

(*) 固体高分子型燃料電池システムに関する本開発の一部は、日立製作所が経済産業省(旧通商産業省)の指導のもとNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの委託研究により推進したものです。


■用語説明
*1 固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell,PEFC):
  水の電気分解の反対の原理を用いた発電装置。燃料に水素と空気を使用する。生成するのは水だけで騒音もないため環境適合性に優れる。 70℃程度の低い温度で発電でき高い効率が期待できることから、家庭用/業務用の分散電源や電気自動車用電源に適用が期待され、その実用化開発が進められている。
*2 セパレーター:
  固体高分子型燃料電池の主要部品の一つで水素と空気を隔てる役目をする。水素を透過せず導電性と耐食性を有する必要がある。セパレーターの両面には水素、あるいは空気を効率的に流すための溝が連続的に形成されている。これまで、緻密な合成黒鉛板は使用されてきたが低コスト化のために量産が可能な黒鉛樹脂モールド材や金属が材料として検討されている。
*3 スタック:
  単電池をいくつも重ねて高い出力電圧が出るようにした電池。

 

 

 

以 上




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