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2001年8月6日
 
SDRAMの動作電力を最大で40%低減する組込み型回路技術を開発
--  わずか0.28平方ミリメートルの回路規模で49%の高速化も同時に実現  --
  日立製作所中央研究所(所長:武田英次)は、汎用メモリに用いられるシンクロナスDRAM(以下SDRAM)の低電力化と高速化を同時に実現する回路技術「SDRAMモード制御技術」を開発し、その効果をシミュレーションにより確認しました。本技術を搭載したメモリコントローラは、SDRAMの消費電力を最大で40%、アクセス時間を49%、同時に低減することが可能です。また、組込み型回路としてわずか0.28平方ミリメートルの回路面積を実現し、既存回路に容易に設置できるため、IP(Intellectual Property)として多くのCPUやMPUの回路に採用されることが期待されます。

  モバイル情報機器は、主に頭脳部分であるCPU、記憶部分のDRAM、および表示デバイスなどから構成されています。このうち、DRAMの動作による電力消費は機器全体の約10〜20%を占めるため、低電力化が大きな課題となっています。また、DRAMの動作速度はCPUに比べて遅く、情報機器の性能を制限している側面もあることから高速化も要求されています。従来、DRAMは半導体プロセスの微細化によって低電力化を進めてきましたが、高速性やデータ保持特性が劣化する恐れがあると言われており、低電力化と高速化を両立する新しい技術が求められています。

  DRAMのメモリ動作は(1)メモリセルからセンスアンプ(*1)へのデータ転送、(2)センスアンプからのデータ読み出し、(3)センスアンプのデータ消去 に分類できますが、動作電力の約半分は、(1)のメモリセルからセンスアンプへのデータ転送に費やされています。そこで(1)のデータ転送の回数を減らすことが効果的な低電力化を実現する点に着目し、「SDRAMモード制御技術」を開発しました。
  本技術では、センスアンプに転送されたデータの読み出し後、データをその都度全て消去せずに、連続したデータアクセスが続くと予測した場合には、キャッシュメモリ的にデータを保持し次のアクセスの際に再利用します。これにより(1)のデータ転送の回数をトータルで低減し、SDRAMの動作電力を一気に低減します。センスアンプへのデータアクセスが連続してこない場合には、次のアクセスもこないと予測し、データを消去します。この結果、メモリセルからセンスアンプへのデータ転送回数とデータ消去回数を最小化し、SDRAMの低消費電力化と高速化を同時に実現します。

  本技術で回路を構成し、ベンチマークプログラムによる性能評価を行った結果、SDRAMの消費電力を40%、アクセス時間を49%低減できることを確認しました。また、本技術を搭載したメモリコントローラ回路は、わずか0.28平方ミリメートルで実現でき、組込み型の回路ブロックとしてCPU内への追加も容易なため、IPとしてCPUやMPUへの適用が可能になります。

なお本技術は、8月6日から米国ハンティントンビーチで開催される
「ISLPED'01 (International Symposium on Low Power Electronics and Design 2001)」で発表する予定です。

(*1)センスアンプ回路:DRAMのメモリセルのデータを増幅し、保持する回路。

以 上




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