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2001年2月6日
システムLSIの最大消費電力を飛躍的に低減する
半導体チップOS技術を開発
−シミュレーションによって
従来比で約1/4に低減できることを確認−
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  日立製作所 中央研究所(所長:武田英次)は、このたび、システムLSIの課題となっている
最大消費電力の増大(チップ電力危機)を回避する新概念の設計技術「半導体チップOS技術」
を開発し、その有用性をシミュレーションにより確認しました。この技術は、ソフトウェアの
OS(Operating System)に用いられている資源管理技術を、システムLSIの回路設計に初めて
応用したものです。本技術を4つのマイコンを搭載したシステムLSIモデルに適用したところ、
最大消費電力を約1/4に低減できることをシミュレーションによって確認しました。

  インターネットを中心とするネットワーク情報革命により、人々の生活は大きく変ろうとし
ています。この大変革を支えるのが、情報機器や家電等の心臓部に用いられているシステムLSI
です。従来では考えられなかった複雑かつ大規模な情報処理が、システムLSIの性能向上により
可能となり、今後もネットワーク情報革命を牽引していく役割を担っていくと予想されます。
  システムLSIの性能向上は、微細化と高集積化によって達成されてきましたが、これまで通り
にそれを続けていけば、システムLSIの最大消費電力(熱設計電力(注1))もそれに応じて増加
し続けます。この電力増加はチップ電力危機と呼ばれ、今後、この電力危機によってシステム
LSIの性能向上に限界が生じる可能性が専門家の間で懸念され始めています。

  このチップ電力危機の対策案として、これまでシステムLSIの動作電圧を低くする方法が適用
されてきました。電源電圧を低下させると処理能力が低下するため、必要な負荷に応じて電源電
圧を動的に変化させる方法を用いたチップも発表されています。しかし、近年のLSIの動作電圧
はすでに1V近くまで低電圧化されており、低電圧化の効果にも限界が見えてきています。

  そこで、今回、このチップ電力危機の問題を解決するため、新しいシステムLSI設計技術 
「半導体チップOS技術」を開発しました。これは、ソフトウェアのOSに用いられている資源管理
技術をシステムLSIの回路設計に応用したものです。この設計技術の主な特徴は、以下の通りです。

(1) ソフトウェアのOSでは、プログラムを複数のブロックに分割し、各ブロックへのCPUの
       割り当てとメモリの割り当てをOSが統括管理することで、複数の大きなプログラムの高
       速な実行を可能にしています。これと同様に、本技術では、システムLSIを構成する回
       路を複数の回路ブロックに分割して設計し、各回路ブロックへの電力割り当てをチップ
       OSが統括管理することで、大きな回路の高速な実行を可能にします。

(2) システムLSIの熱設計電力を設定値以下に抑えることが可能となるため、電力の制限に
       よって実装できなかったような大規模の回路実装が可能になります。

(3) ソフトウェアのOSがプログラムの設計環境を提供しているのと同様に、システムLSI設
       計における電力管理設計プラットホームが提供できます。

  当社のRISCマイコン「SH-4」(注2)に相当するマイコンを4つ搭載した大規模システムLSI
のモデルに本方式を適用しシミュレーションを行った結果、「半導体チップOSチップ技術」を
使用しない場合と比較して、熱設計電力を約1/4に低減できることを確認しました。このときの
動作速度劣化は、わずか1%に抑えることができました。今後、半導体チップOS技術をより発展
させ、次世代システムLSI用のオープン電力管理設計プラットホームを提案していく予定です。

  なお本技術は、2月4日から米国サンフランシスコで開催されている「国際固体素子回路会議
(ISSCC:International Solid-State Circuits Conference)」で発表します。


<用語解説>
(1)LSIの消費電力には大きく分けて二つの指標があり、一つはチップが動作時に消費する
      電力の平均値で、平均消費電力と呼ばれています。もう一つが熱設計電力(TDP: Thermal 
       Design Power)で、チップがピーク時に消費する最大消費電力です。平均消費電力は一
      般的な使用状態でチップが消費する電力であるため、バッテリ駆動の情報機器ではバッ
      テリ駆動時間に影響します。それに対して、熱設計電力は電力のピーク値であるためず
      っと高い値となり、それらのチップを用いた情報機器や家電等の機器設計に大きな影響
      を与えます。近年の機器の小型化によってチップの冷却は難しくなっており、熱設計電
      力が大きい場合、要求される機器の冷却機構が複雑になり、機器の小型化や低コスト化
      が困難になります。

(2)SH-4はSuperH™ RISC engine ファミリの最上位機種。
      * SuperHは、(株)日立製作所の商標です。



                                                                         以 上




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