日立製作所 半導体グループ(グループ長＆CEO 石橋 正)は、このたび、小型ハードディスク
(HDD)置き換え等の通信・産業用途や、デジタルカメラ、携帯音楽プレーヤ等の大容量フラッシ
ュカード用途向けに、512MビットAND型フラッシュメモリ「HN29V51211T」および積層パッケージ
DDP(Double Density Package)使用による1Gビットフラッシュメモリ「HN29V102414T」を製品化
しました。そして、本製品を搭載した業界最大容量の2GバイトPC-ATAカード(注1)「HB28B2000A6」
と128MバイトMultiMediaCard(TM)(注2)(以下、マルチメディアカード)「HB28B128MM1」を製品化
し、4製品ともに平成12年末からサンプル出荷を開始します。
  512MビットAND型フラッシュメモリは、0.18μmプロセスと多値技術(注3)の採用により、小
チップサイズと低消費電力を実現しており、本製品を搭載したフラッシュカードの大容量化と
低消費電力化を可能にしています。

  フラッシュカードは、今やデジタルカメラやポータブル音楽プレーヤ、ハンドヘルドPC等の
各種携帯機器・情報機器の大容量ストレージメディアとして普及しており、今後の携帯電話へ
の音楽配信やeコマース用としてセキュリティ機能を備えたフラッシュカードの需要が期待され
ています。また、従来小容量HDDを使用していた通信・産業分野において、HDDと比較してシス
テムメンテナンス負担が少なく、低消費電力、そして耐振性に優れるフラッシュカードは、シ
リコンディスクと呼ばれHDDからの置き換えが始まっています。更に新規設計のシステムから
は、PC-ATAカードの採用も始まっています。
  こうした様々な用途における大容量化のニーズに対応するため、今回512Mビットおよび1Gビ
ットの大容量フラッシュメモリと、同製品を搭載した2GバイトのPC-ATAカード、128Mバイトの
マルチメディアカードを製品化しました。

  1. 512MビットAND型フラッシュメモリ「HN29V51211T」
  本製品は、三菱電機株式会社との共同設計です。0.18μmプロセスの採用と、既256Mビット
品開発で培った多値技術のノウハウを活かした設計により、現在の256Mビットフラッシュメ
モリに比べ、容量を2倍にしながら更に小さなチップサイズを実現しました。  
また、電源電圧2.7〜3.6Vで、読み出し時の消費電流は2mA(typ.)と小さいため、携帯機器で
要求される低消費電力化も実現しています。

  2. 1GビットAND型フラッシュメモリ「HN29V102414T」
本製品は、512Mビットフラッシュメモリ2チップを積層した当社の積層パッケージDDP
(Double Density Package)を採用し、256Mビット/512Mビット品と同じ外形の48ピンTSOP 
type-Iで実現しています。

  3. 2GバイトPC-ATAカード「HB28B2000A6」
  本製品は、上記1Gビットの「HN29V102414T」を16個搭載することで、従来の1Gバイト
PC-ATAカードの2倍の容量である業界最大の2Gバイトを実現しています。1Gバイト品同様、
複数チップのインターリーブ動作により、最大2Mバイト/秒の高速書き換えが可能です。

  4. 128Mバイトマルチメディアカード「HB28B128MM1」
  マルチメディアカードは、フラッシュメモリとコントローラで構成されています。本製品
は512Mビットフラッシュメモリ2チップと当社のRISCマイコン「SuperH(TM)」(注4)をCPUコ
アとしたセルベースICを搭載しており、MP3(注5)等の一般的な圧縮技術を用いた場合、音楽
データを約2時間記録できます。

  マルチメディアカードは、標準化団体である「MultiMediaCard Association」が標準化
し、仕様は「System Spec」としてメンバーに公開されており、今回の製品は「System 
Spec Version 2.11」に適合しています。また、本製品全体の仕様は、16Mバイト〜64M
バイト品と同様に、Siemens AGグループのInfineon Technologies AGと共同で策定して
います。

  読み出し速度は14Mビット/秒、書き込み速度が5Mビット/秒と高速で、2.7〜3.6Vという低
電圧動作も実現しています。また、カードのインタフェースは、マルチメディアカード方式
と従来から使用されているSPI方式をサポートしており、ユーザは機器のシステム設計に適し
た方式を選択することができます。

＜サポートツール＞
  フラッシュマルチメディアカードを使用したシステムを設計する際のサポートツールとし
て、ドライバソフト、ファイルマネージャ等のソフトウエア(注6)、H8Sマイコンベースの開
発プラットフォーム等のハードウエア、さらにはシステムの解析ツールであるマルチメディ
アカード専用プロトコルアナライザ(注7)等が各サードパーティから発売されています。

(注1) PC-ATA：正確にはPCカードATA仕様。PCMCIA(Personal Computer Memory Card 
      International Association)で定められたカード仕様のうちのATA(Advanced 
      Technology Attachment)仕様。

(注2)MultiMediaCard (TM)は、独Infineon Technologies AGの商標であり、MMCA
    (MultiMediaCard Association)にライセンスされています。日立はMMCAのボード
     メンバーです。URL:http://www.mmca.org/

(注3)多値技術：チップサイズの縮小に有効な大容量フラッシュメモリに適した技術で、
     通常のメモリでは'0'/'1'の2つの値を記憶しているのに対し、'00'/'01'/'10'/'11'
     等4つ以上の値を持たせるものです。今回の512Mビット品は4つの値を持つことが
     でき、1セルで2セル分の働きを実現します。
(注4)SuperH(TM)は(株)日立製作所の商標です。

(注5) MP3：MPEG-1/Audio Layer3の略。

(注6)ドライバソフト、ファイルマネージャソフトは、株式会社エーアイコーポレーション
     から発売されています。

(注7)H8Sマイコンベースの開発プラットフォーム、マルチメディアカード専用プロトコル
     アナライザは、国際電気アルファ株式会社から発売されています。

■ 応用機器
●産業・通信用外部記憶装置
●ハンドヘルドPC、パームサイズPC、PDA、電子手帳等の携帯情報機器
●デジタルビデオカメラ、デジタルカメラなどの携帯画像機器
●音楽ダウンロード／再生機能付き携帯電話、ポータブル音楽プレーヤ、玩具、
  ゲーム機などの携帯エンターテイメント機器
●スマートフォン、ページャ等の携帯通信機器

                                                                   以  上

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