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平成12年9月26日
指の静脈パターンによる個人認証技術を開発
−近赤外光による透過画像を利用−
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 日立製作所 中央研究所(所長:武田英次)は、このたび、指の静脈パターンを用いて個人を識別
する個人認証技術を開発しました。本技術は、波長800〜900ナノメートルの光(近赤外光)を、指
に透過させて得られる静脈パターンの画像によって個人認証を行う方法です。外観では見分けにくい
生体内部情報を用いること、また、認証時における接触性が低いことから、信頼性が高く、心理的抵
抗感の低い新しい個人認証技術として期待できます。

  近年、急速な情報化社会の進展に伴い、建物や部屋から情報機器、ネットワークまで、個人認証技
術が要求される状況は急速に増えています。認証が必要な状況は、小人数から不特定多数が利用する
場まで多岐にわたっています。特に、不特定多数の人間が利用する装置、入退出管理における個人認
証技術には、接触性が低く認証される人が衛生面から不快感を抱かないことと、偽造ができないこと
が重要になります。
  現在利用されているおもな個人認証の手段には、免許証などの本人所有物による認証をはじめ、暗
証番号、パスワードによる認証、指紋や虹彩などの生物学的特徴に基づく生体認証があります。この
うち、生体認証は改ざんされにくく、“なりすまし”が困難であると同時に、利用者が認証に関わる
情報を携帯、記憶する必要がないという特徴を持つため、セキュリティ性の高い認証手段として期待
が高まっています。

 そこで、今回、当社では、新しい生体認証技術として、指の静脈パターンを用いて個人の識別を行
う「指静脈パターン認証技術」を開発しました。指の静脈パターンは個人差が大きく、かつ外観では
識別不可能なことから、パターンをうまく抽出し、照合できれば、高精度で安全な認証システムの実
現が期待できます。

 新たに開発した認証技術は、光を指に照射し、その透過光から得られる指の静脈パターン画像を撮
影して、予め登録された画像と照合する方法です。指に光を照射すると、光はわずかながら指を透過
します。光の波長は、800〜900ナノメートル領域(近赤外光)では、血液中のヘモグロビンに吸収
される以外は、生体組織に対しては透過性が高いという特徴を持ちます。このため、近赤外光の透過
光から得られる画像は、指に存在する静脈パターンを含む画像となります。この画像をCCD(固体撮
像素子)カメラで撮影し、得られた画像と登録画像の照合を行います。今回は照合方式として、パタ
ーン全体の画像を比較照合する方式と、静脈を線の情報として比較照合する2種類の静脈パターンマ
ッチング方式を開発しました。
 このたび、約700名を対象とした原理実証実験を行った結果、誤認識なしの結果が得られ、本技
術が個人認証の手段として有用であることが確認できました。

 本技術は、光の透過の性質を利用していることから、静脈パターンという生体内部の情報を利用で
きるため信頼性が高く、また接触性を低減できるので利用者の心理抵抗感を和らげられるといった効
果があります。情報化時代に向けて、個人使用のパソコン環境での各種認証から、広く不特定多数が
利用する公共の場における認証まで、様々な環境に対応した生体認証技術として期待できます。

【静脈パターンマッチング技術の特徴】
    今回、精度の高い照合を実現するために、2通りの静脈パターンマッチング方式を開発しました。
(1) 医用画像処理を応用したパターンマッチング:従来、医用画像診断で利用されている画像処
       理を応用し、画像全体を比較して認識を行う方法です。周波数空間での演算処理法を応用し、
       高速演算が可能です。
(2) 静脈パターン構造を利用したマッチング:指画像から静脈の存在する部分を人工知能手法で
       鮮明な構造パターンとして検出し、あらかじめ登録した静脈の構造パターンと検出した構造
       パターンとをマッチングさせて個人認識を行います。静脈の構造のみをマッチングの対象と
       することで、入力した映像にムラがあっても高い認証精度が得られるとともに、記憶するデ
       ータ量が少なく、ICカードへデータを記録することが可能です。



                                                                             以 上




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