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平成12年9月4日
全IC化した40ギガビット/秒 光送受信器の試作に成功
−次世代光伝送システムへの適用にめど−
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 日立製作所中央研究所(所長:武田英次)は、このたび、主要機能の全てをIC(集積回路)化し
た小型、低消費電力の40ギガビット/秒光送受信器の試作に成功しました。全IC化によって、送信
器・受信器をそれぞれA4サイズのボード上に実装できるほか、受信器の消費電力8.6Wという実用
的な値を達成しました。また、既存ICとの接続を考慮して、実用化には不可欠な10ギガビット/秒
の低速インタフェースを同時に試作しました。これらの成果は、次世代40ギガビット/秒光伝送シス
テムの具体化を促進するものと期待されます。

 インターネットの普及に伴い、ネットワークの伝送容量は増加の一途をたどっています。幹線ネッ
トワークでは既に10ギガビット/秒の伝送装置が導入され、さらに波長多重化によって光ファイバ1
本当りの伝送容量の拡大が進められています。このように、ますます大容量化する光伝送システムを
普及させるためには、通信コストの低減が必須であることは言うまでもありません。コスト低減のた
めの主要な施策として、光送受信器当りの伝送容量を増大することが不可欠でした。
 このような背景から、平成11年に、当社では、InP HBT(インジウム・リン・ヘテロバイポ
ーラトランジスタ)を用いて、主要回路の全てをモノリシックIC化した40ギガビット/秒光送信器
の試作に成功しています。さらに、今回は、光送受信器の全IC化を目指して、40ギガビット/秒光
受信器の試作を行いました。

 光受信器は受信信号から40GHz(ギガヘルツ)のクロックを再生するため、実効的な動作周波数
は光送信器よりも高くなります。このため、十分な動作マージンを持つ高性能ICの開発が課題とな
りました。
 今回は、受信器を構成するIC1)のうち、3種(全波整流IC、リミットアンプIC、遅延型フリ
ップフロップIC)はアナログ特性に優れたInP HBTを、また残りの2種(差動アンプICと
1:4分離IC)は低電流で高速・高集積化が可能なSiGe(シリコン・ゲルマニウム) HBTを適
用することによって、光受信器に必要な全ての回路のIC化を実現しました。試作した受信器の特徴
は、以下の通りです。

(1) 3種のICに適用したInP HBTは、広い周波数帯域を持つ高性能のアナログ回路を実
     現することができます。特に、今回、識別感度が高い遅延型フリップフロップ回路を実現する
     ことによって、光受信器の高感度化を達成しています。
(2) 1:4 分離ICは他のICに比べて集積規模が大きいため、低消費電力化が必須の課題でした。
     今回、低電流で高速動作が可能なSiGe HBTを採用することにより1:4 分離ICの1チ
     ップ化を実現しました。これによって、1チップで40ギガビット/秒の信号を10ギガビット/秒
     の信号に分離できることから、実用化の際に必須となる既存のIC(10ギガビット/秒)との
     低速インターフェースを提供することが可能になりました。

 試作した40ギガビット/秒光受信器の消費電力は8.6Wでした。この消費電力は、容量が四倍にな
ったも係わらず、現行10ギガビット/秒光受信器の初期の製品と同等の実用的な値です。また、光受
信器と光送信器と対向させた送受信の動作実験を行ったところ、受信感度についても-23.6dBmと
いう実用的な値を達成しており、次世代40ギガビット/秒光伝送システムを実用化の見通しが得られ
ました。
 なお、本内容は9月4日からミュンヘンで開催される「26th European Conference on Optical 
Communication(ECOC 2000)」で発表する予定です。
1)今回、当社が試作した光受信器は、受信した光信号から変換された電気信号を増幅する
“差動アンプIC”、“クロック抽出部”、増幅信号を40GHzの抽出クロックでデジタルデータに
変換する“遅延型フリップフロップIC”、40ギガビット/秒のデータを10ギガビット/秒×4チャネ
ルのデータに分離する“1:4分離IC”から構成されています。このうちクロック抽出部は、受信
信号からクロック成分を生成するための“全波整流IC”、クロック成分のみを通過させる
“フィルタ”、振幅を一定にする“リミットアンプIC”で構成されています。





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