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Hitachi

企業情報株主・投資家向け情報

最適な事業ポートフォリオ構築とバランスシートの再設計を促進

さて、前回の統合報告書において、私は「近づける事業」と「遠ざける事業」を明確に位置づけ、デジタル技術を活用した社会イノベーション事業に注力することをお約束しました。そこで昨年度は、そのお約束を果たすべく、上場子会社の再編など、距離を置く事業の整理を行いました。そして、2017年度。これからは、飛躍へのギアチェンジを図る中で、日立グループ内のシナジーを意識、中長期的な視野を有しつつ、企業価値の向上に貢献するM&Aにも果敢に取り組んでいきます。この2018中計では、前回の中計と比較し、投融資のための金額としてほぼ倍増となる1兆円を掲げています。日立は、現時点においても、優秀な人財や技術を有しているとの自負はあります。一方で、いまだに十分には攻め切れていない地域におけるビジネスチャンスの拡大やデジタル化に向けたリソース強化、保守・メンテナンス事業の拡大などは喫緊の課題であり、これらを今後の戦略的M&Aのポイントと位置づけています。2017年7月に買収した米国の空気圧縮機メーカーであるサルエアー社は、まさに日立グループ内のシナジーを生かすことのできる好例です。サルエアー社が有する既存顧客は約4,000社。そこに日立の製品群はもとより、新たにLumadaを活用したデジタルソリューションの提供が可能となるのです。また、英国の昇降機の販売・据付・保守サービスなどを行うテンプル社の買収も、これまで中国、日本が中心であった昇降機事業における英国ならびに欧州への本格参入、世界展開の一環であります。
一方で、各ビジネスユニットやグループ各社が個別に利益を追求、M&Aなどに取り組むのみでは、日立グループ全体のバランスシートの効率化には直結しません。そこで、日立全体の最適な資産配分を実現し、資産収益性の最大化を図るべく、2017年4月、CEO直轄の投融資戦略本部を設立しました。同本部は全社的な戦略のもと、投資案件の精査、優先順位の策定などに取り組みます。
不確実性が高いこの時代において、日立は、地政学リスクや環境問題を考慮したエネルギーミックスなど、グローバルなトレンドに対応したリスクマネジメントの徹底を図りつつ、継続的な事業ポートフォリオの見直しなどを通じて、バランスシートの再設計にも注力していきます。

日立グループ一丸となり、キャッシュ創出力を強化

また、ここまでに掲げたような最適な事業ポートフォリオの構築、バランスシートの再設計など日立グループ全体としての取り組みに加えて、私は、社員一人ひとりのコストやキャッシュに対するマインドセットが継続的な成長を加速させるものと考えています。日立は、歴史的にモノづくりのマインドが社内全体に浸透しているため、工場単位で製造原価を下げるというコスト意識は比較的に高いものがあります。一方で、グローバル企業として、競合他社に伍していくためには、稼ぐこと、キャッシュを創出することが重要です。しかしながら、社内において、それらに対する意識はまだまだ足りないと考えていました。そこで、国内外の拠点を訪問、私の想いをダイレクトに伝えるべく、社員を対象としたタウンホールミーティングなどを繰り返しました。その結果、社長就任から3年を経たいま、私の想いは確かに浸透し、デジタル技術を活用した社会イノベーション事業へのシフトを図る中で、社員におけるコストやキャッシュに対する意識、改善に向けた気概が大きく変わってきたという手応えを感じています。
私たちは、現在、グローバルの競合他社をベンチマークに、事業ごとにあるべきコスト構造の目標を掲げて、グロスマージンの最大化とSG&A*1の最適化を図り、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC*2)の改善にも取り組んでいます。今後は、日立グループとして、Lumadaによるデジタル技術の活用で、業務プロセスの見える化や最適化を進め、さらなるコスト構造の変革、キャッシュ創出をめざします。

経営基盤強化による業績改善策

Hitachi Smart Transformation Project

*1
SG&A: Selling, General and Administrative expenses(販売費及び一般管理費)
*2
CCC: Cash Conversion Cycle(製造・サービス等)

ガバナンス強化と株主還元のあり方

日立において、キャッシュ創出などへの意識が格段に高まった要因の一つに、取締役会の体制強化があげられます。昨今、取締役会による経営の監視・監督やその実効性、経営の透明性など、ガバナンスに対する株主の皆様の関心がより高くなっています。日立は、国内にてコーポレートガバナンス・コードが策定される3年前の2012年に、他社に先駆けて、コーポレートガバナンスガイドラインを策定しました。さらに2016年には、取締役の任務にCEOの解任や後継者の選出を追加するなど、真のガバナンス向上を図っています。そして、国籍も多岐にわたり、かつさまざまな分野の第一線で活躍する社外取締役は、当然のごとく、私たち日立にグローバルスタンダードの利益水準、戦略実行を求めているのです。「利益水準の低い事業においては、その対策をもっと速やかに実行すべき」など、グローバルで勝ち抜くための明確な方針が示され、取締役会における議論では、毎回、多くの気づきがあります。現在、取締役会の考え方を私たち執行役で共有、具体的な取り組みをもって経営に反映していくという、ポジティブなサイクルを確立しつつあるものと実感しています。
さらに、株主還元においては、2018中計期間中、将来に向けた成長投資と株主還元の双方を追求していきます。2018中計において、私たちは当期利益4,000億円の必達を掲げており、その着実な拡大に加えて、キャッシュ・フロー改善による1株当たりの配当の安定的な拡大を、株主還元の軸としています。2016年度からは、株式報酬型ストックオプションも導入、私たち経営陣が株主の皆様と株価変動によるメリット、リスクをより一層共有できるようになっています。日立は、今後も中長期的な視点で、企業および株主価値の持続的な向上をめざします。