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教育機関向けソリューション

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導入事例:高エネルギー加速器研究機構

スーパーコンピュータSR11000でブラックホール内部のようすを解明

素粒子原子核研究所 准教授 西村 淳 氏

計算科学センター 助教 松古 栄夫 氏

つくば市に拠点を置く「高エネルギー加速器研究機構(以下、KEK)」は、「加速器」と呼ばれる巨大な装置を使い、素粒子物理などの基礎科学の研究を行う大学共同利用機関法人です。2008年1月、同機構と理化学研究所を中心とする研究チームは日立のスーパーコンピュータ SR11000モデル K1を適用し、素粒子の究極理論とされる超弦理論(*1)の計算機シミュレーションに成功。ブラックホール内部のようすを世界で初めて(*2)明らかにしました。
そこで、研究発表を行った素粒子原子核研究所准教授の西村 淳氏と、SR11000の運用責任者である計算科学センター助教の松古 栄夫氏に、今回の国際的な成果内容とSR11000への評価について、お話をうかがいました。

*1
素粒子の間に働く基本的な相互作用としては、電磁気力、弱い相互作用、強い相互作用、重力が存在する。重力以外の3つの相互作用を記述する理論は存在するが、重力を含めた素粒子理論に関しては、現在もさまざまな研究が進められている。超弦理論では、すべての素粒子を、一次元的な拡がりを持った「弦」の振動モードと考えることによって、重力を含めた相互作用を統一的に記述することが可能となる。
*2
2008年2月現在

お客さまの声

日立:
今回の研究成果を教えていただけますか。

[イメージ]超弦理論の予測するブラックホールの内部構造を現す概念図
図 超弦理論の予測するブラックホールの
内部構造を現す概念図(弦の凝縮状態)
(画像提供:高エネルギー加速器研究機構)

西村氏:
1974年、英国の物理学者であるホーキング博士が、ブラックホールが光などを放出しながら少しずつ小さくなるという「ホーキング輻射」の存在を理論的に示し、外部から見た際の、ブラックホールが持つ温度とエネルギーとの関係を導き出しました。これに対し私たちは、すべての素粒子を極めて小さな「弦」の振動として表す「超弦理論」をもとに、温度とエネルギーとの関係をブラックホールの内部構造から説明しようと考えました。しかし、ブラックホールの中心付近では、弦の相互作用が非常に強くなっているため、その解明はこれまで非常に困難だと言われていたのです。

そこで私たちは、時間を一定間隔で刻む格子的な考え方ではなく、「弦」の振動をさまざまな周波数に分けて効率的にシミュレーションする新しい方法を考案し、ブラックホール内部で弦がランダムに揺らいでいる状態のエネルギーをSR11000により世界で初めて計算することに成功したのです。これにより、ホーキング博士によって理論的に示されたブラックホールの性質が、「超弦理論」によっても説明できることを実証することができました。

日立:
そこでSR11000が果たした役割は?

西村氏:
私たちが研究している「超弦理論」では、同じスーパーコンピュータでも並列化による性能向上だけでは追いつかない、非局所的な計算を必要としています。その点、SR11000は1ノードあたりのパワーが非常に高く、今回のシミュレーションには好適でした。使いやすさだけでなく、計算に必要なプログラミングなどで質問をした際に、日立側の担当者がすぐに的確な答えを返してくれる点にも大いに助けられました。

日立:
運用管理されている立場から、SR11000への評価をお聞かせください。

[写真]KEK内に設置されたSR11000モデルK1
写真 KEK内に設置されたSR11000モデルK1

松古氏:
当機構では2種類のスーパーコンピュータを導入していますが、広範な数値シミュレーションに適したSR11000は研究者にとって非常に使い勝手がよく、常に最大性能を引き出せるマシンとして高い評価を得ています。装置としての信頼性も高く、トラブルはほとんどありません。何か問題があっても日立側のすばやい対応が期待できる点も大きな安心感を与えてくれます。

ちなみにSR11000は、大強度陽子加速器施設 J-PARC(JapanProton Accelerator Research Complex)においても、新しい加速器のデザインや運転の最適化に活用されています。これからもSR11000の優れた性能と使いやすさを、幅広い研究活動に活かしていきたいと思います。

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特記事項

  • 2008年5月8日 掲載
    本事例中に記載の内容は初掲載当時のものであり、変更されている可能性もあります。
  • 本サイトで紹介しておりますソリューションについてのお問い合わせは株式会社 日立製作所 公共システム営業統括本部が承っております。掲載団体への直接のお問い合わせはご遠慮願います。
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