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第3回 テレワークのさらなる普及に向けた取り組み

1. 総務省職員によるテレワークの推進

「実際に育児、介護をしながらテレワークを利用している職員の声を聞くと、非常に満足しているようです」

日立:
総務省では、省内で積極的にテレワークを導入しているとお聞きしました。

[写真]総務省 情報通信政策局 情報流通高度化推進室 藤本昌彦室長

藤本室長:
はい。やはりテレワークを推進する立場として、我々自身も実践しなければと考え、導入しています。

最初は平成18年の10月から、育児と介護に携わる職員に限定する形で取り組み始めました。国家公務員でテレワークを導入したのは我々が始めてでしたので、当初は恐る恐るという感じでしたね。
そして半年間の運用後、テレワークを実践した本人と、その上司、同僚、部下に対して、アンケート調査を実施しました。

日立:
ご本人だけでなく、職場の周辺の方にもお声を伺ったのは、職場への影響について調査するためでしょうか。

藤本室長:
そのとおりです。テレワーク実践者が快適に働けても、周囲の人間にしわ寄せがきては成功とは言えませんからね。
結果としては、テレワーク実践者は育児や介護と仕事を両立でき、大変満足という回答でした。また、周囲からのヒアリングでも特段問題が発生したという報告はありませんでした。

このようにテレワークの有効性が検証できましたので、平成19年5月からは「育児介護」という限定をはずして、霞ヶ関の本省に勤める全職員、約2000名を対象として本格的に適用しています。

日立:
導入にあたっては、就業規則の改定など制度面での見直しがあったのでしょうか。

藤本室長:
いえ、国家公務員制度に基づく勤務制度を修正することなく、テレワークを導入できました。ただ、実際の運用する上での注意点はありますので、テレワーク作業者向けのマニュアルを作成しています。

日立:
テレワークで作業されている方にも、週のうち何日かは出勤していただているのですか。
また、勤務時間はどうなっているのでしょう。

藤本室長:
やはりきちんと顔を合わせてコミュニケーションしなければならないこともありますので、基本的に週最低1日は出勤していただくようにしています。
勤務時間については、普通に出勤して働く場合と、まったく同じです。
このようにある程度のルールは定められていますが、実際に育児、介護をしながらテレワークを利用している職員の声を聞くと、非常に満足しているようです。

図 総務省職員の方によるテレワークの風景
[イメージ]総務省職員の方によるテレワークの風景

日立:
今後、他の省庁でもテレワークが進むことが考えられますか。

藤本室長:
そうですね。テレワークの効果の一つとして、非常時の事業継続性(ビジネスコンティニティー)を確保できる、という点があげられます。
アメリカでは連邦政府職員のテレワークを推進しており、実際に11万人ほどの職員がテレワークをしています。アメリカでこれほど推進されている理由の一つは、「複数の遠隔地から業務を継続できる」というテレワークの特性が、非常時に役立つと考えられているからです。
実際、9.11テロやハリケーンなど、災害によって交通機関が麻痺して役所に行けない場合でも、職員が自宅からサーバーに接続し、テレワークで業務を続けたという事例があるそうです。

日本においても、非常時における政府の事業継続性が重要であることに違いはありません。他の省庁や自治体には、そのような観点からもテレワークを導入いただきたいと思います。
実際、テレワーク人口倍増アクションプランの中でも「各省庁は平成19年度中にテレワークを施行すべき」と明記されていますので、今後はほかの政府関係機関でもテレワークが導入されていくと考えています。

2. テレワーク導入を支援する各種施策について

「税制面での優遇措置として、『テレワーク環境整備税制』というものがあります。これは、テレワークを行う環境としてシンクライアントシステムを整備する場合、税の軽減が受けられるというものです」

日立:
ここまでのお話を伺って、「ぜひテレワークを取り入れてみたい」と考えている自治体や企業の方もいらっしゃると思います。国として、そのような方々をサポートする施策はありますか。

藤本室長:
税制面での優遇措置として、「テレワーク環境整備税制」というものがあります。これは、テレワークを行う環境としてシンクライアントシステムを整備する場合、税の軽減が受けられるというものです。
実証実験のところでもご紹介しましたが、やはり自宅からテレワークで作業を行うにあたり、セキュリティの確保の観点でシンクライアントの導入は大変効果的です。とはいえ、シンクライアントの導入にあたっては設備投資が必要になるのも事実ですから、そこを税制でサポートしていこうという考えです。

日立:
具体的に、どのような設備が対象となるのですか。

藤本室長:
自宅に設置するシンクライアント端末と、会社などに設置するサーバー、およびインターネットVPN装置が対象となります。これらの装置を整備し、かつテレワークを導入するという企業に対して、取得後5年度分の固定資産税の課税標準を2/3に軽減します。
適用期間は平成19年4月1日〜平成21年3月31日となっていますので、ぜひ活用いただきたいですね。

日立:
テレワークのことについて勉強したり、他の組織と情報交換したりするような機会はありませんか。

藤本室長:
テレワーク推進フォーラムがあります。テレワークを推進している関係4省(総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省)が呼びかけて設立した団体です。産学官協働で、テレワークに関する情報交流や調査研究、セミナーなどの普及活動を実施しています。
会費は無料ですので、ぜひテレワーク推進フォーラムのホームページにアクセスの上、会員になっていただければと思います。

3. テレワークの今後の展望について

「各省が連携して総合的にテレワークを推進していきます」

日立:
最後に、テレワークの将来についてお聞かせください。
将来的にはどれぐらいのテレワーク人口を見込んでいますか。

[写真]総務省 情報通信政策局 情報流通高度化推進室 藤本昌彦室長

藤本室長:
2010年に就業者人口の2割、1300万人にするという目標を掲げています。
テレワークが盛んなアメリカでは、すでにテレワーク人口の割合が3割を超えています。日本も何とかこのレベルを目指したいと思いますが、まずは2010年の目標をしっかりと達成させたいと考えています。
もちろん、この取り組みは総務省だけで行うものではありません。厚生労働省、経済産業省、国土交通省の3省もテレワーク人口倍増に向けたさまざまな施策を打ち出しており、各省が連携して総合的にテレワークを推進していきます。

日立:
「2割」というのは明確な目標ですね。手ごたえの方はいかがでしょう。

藤本室長:
絶対に達成したいと思います。テレワーク利用者は順調に増加していますので、必ず達成できる目標だと考えています。

日立:
最後に、これからテレワークに取り組む組織の皆さんへメッセージをお願いいたします。

藤本室長:
テレワークは組織にとって、生産性の向上、人材の確保、非常時の事業継続性確保、コストの削減といったさまざまなメリットを生みます。多くの自治体や企業でテレワークが根付いていけば、少子高齢化時代の労働力確保、ワークライフバランスの実現、さらには環境への貢献や地域活性化といった社会的なメリットも発揮されます。自治体・企業の皆さんには是非ともテレワークを知っていただき、導入を検討いただきたいと思っています。よろしくお願いします。

日立:
本日は貴重なお話をありがとうございました。

(2008年3月10日取材)

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