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第2回 テレワーク人口増加に向けた実証実験の概要と成果

1. テレワーク人口増加に向けた取り組み

「就業者人口に対するテレワーク人口の割合を2005年の倍、つまり20%にするという目標を掲げています」

日立:
では、いよいよテレワーク人口増加に向けた総務省の取り組みについてお話を伺いたいと思います。
最初に、現在の日本のテレワーク人口について教えてください。

[写真]総務省 情報通信政策局 情報流通高度化推進室 藤本昌彦室長

藤本室長:
国土交通省が2005年に調査した結果によると、テレワーク人口は就業者全体の10.4%、約674万人となっています。政府では、この就業者人口に対するテレワーク人口の割合を2005年の倍、つまり20%にするという目標を掲げています。

日立:
テレワーク人口増加に向け、具体的にどのような施策を検討されているのでしょうか。

藤本室長:
平成19年5月に、「テレワーク人口倍増アクションプラン」という計画を定めています。これは、2010年までにテレワーク人口を倍増するための施策を各省が打ち出し、全省庁参加の会議で決定したものです。政府のIT戦略本部にも報告し、了承を得ています。
このアクションプランには、全部で36項目の施策が含まれています。

2. テレワーク推進に向けた実証実験について

日立:
総務省では、平成19年度にテレワーク推進に向けた実証実験をされたと伺っています。これも、先ほどのアクションプランの施策の一つなのでしょうか。

藤本室長:
そうです。テレワーク倍増アクションプランの36施策のうち、総務省としては7件の施策に携わっていますが、そのうちの一つが「テレワークの普及促進のための実証実験の実施」となっています。

日立:
具体的な実験内容についてお聞かせください。

藤本室長:
実証実験は、大きく二つに分かれています。

一つは、総務省と厚生労働省とが連携して推進している「テレワーク試行体験プロジェクト」です。
これは、今までテレワークを取り入れたことがない、体験したことがないという企業に対して、両省が用意した簡単なツールでテレワークのシンクライアント環境を体験いただくというものです。このプロジェクトは、公募でご参加いただいた企業/自治体、約100社の方々に参加いただきました。

図 「テレワーク試行体験プロジェクト」の概要(出典:総務省)
[イメージ]「テレワーク試行体験プロジェクト」の概要

もう一つは「先進的テレワークシステムモデル実験」といって、近年のわが国の先進的なネットワーク環境を利用して、さまざまなテレワークによる社会的な効果を検証することが目的です。
日本全国から4地域を選出し、5種類の適用モデルについて検証を進めてきました。

日立:
一つ目の「テレワーク試行体験」ですが、参加された団体の内訳はどのようになっていますか。

藤本室長:
自治体は、佐賀県庁、京丹後市、坂出市ほか、全部で5団体が参加されています。
民間企業については、各企業のご都合もありますので具体的なお名前はは伏せさせていただきますが、大手から中小まで、さまざまな規模・業種の方々に参加いただきました。特に、今回の実験では中小企業の方々にテレワークを体験いただきたいという考えていましたので、約半数の団体が従業員数100人未満の団体となっています。

日立:
では二つ目の「先進的テレワークシステムモデル実験」についてお聞かせください。具体的にどのような実験が行われたのですか。

藤本室長:
テレワークに活用できる先進技術として、次の3種類の技術について検証しています。
1点目は、シンクライアントを用いたシステムで、安全/安心して在宅で仕事ができる技術。
2点目は、次世代のデータ伝送方式である「IPv6」と呼ばれる技術。
3点目が、SaaS(Software As A Service)と呼ばれる技術です。

日立:
SaaSは最近良く耳にする技術ですね。テレワークにはどのように活用されるのでしょうか。

[写真]総務省 情報通信政策局 情報流通高度化推進室 藤本昌彦室長

藤本室長:
SaaSとは、今までのように各作業者の端末にソフトウェアを組み込むのではなく、サーバー上に格納されたソフトウェアを作業者全員が必要に応じて利用する、という形態です。我々はこの技術を、専用端末を使わなければ作業できないような業務に活用できないかと考えています。
具体的にどういうことかと言いますと、作業者は自宅からSaaSのサーバーにアクセスして、専用端末と同等の機能を持ったソフトウェアにアクセスし、利用します。こうすることで、作業者の自宅にあるごく普通のパソコンで、職場にしか設置されていない専用端末と同じ業務がこなせるのです。自宅のパソコンにはソフトウェアそのものは残らないので、セキュリティ上の不安もありません。この形態であれば、企業も安心して在宅のテレワーク作業者に専門的な作業を依頼できると思います。

ただ誤解いただきたくないのですが、これらの実証実験の目的は個々の技術の評価だけではありません。冒頭に述べたとおり、この実験ではテレワークによってもたらされるさまざまな「社会的効果」の検証にも力を入れています。
テレワークを使うことで便利になる点があれば「こういう点が便利です」とPRさせていただきますし、課題が見つかれば問題点を掘り下げていきます。そういった社会的効果の検証も、今回の実験の目的なのです。

日立:
なるほど、わかりました。
では、個々の実験について、もう少し具体的にどんなことを実施したのかお聞きします。本来なら5種類の実験すべてについてお聞きしたいところですが、時間の都合で一つだけに絞らせてください。
岡山地区で実施された実験では、日立製作所がお手伝いさせていただいていますが、この実験はどんな内容だったのでしょうか。

藤本室長:
岡山地区の実験では、主にSOHO(*1)分野でのテレワーク活用に焦点をあてています。SOHOという労働スタイルは比較的古くから存在しますが、今回はテレワークを活用したSOHOということで、次の2点を検証しました。

図 岡山地区で行われたSOHO分野でのテレワーク実証実験の概要(出典:総務省)
[イメージ]岡山地区で行われたSOHO分野でのテレワーク実証実験の概要

1点目は技術的な検証で、SOHO業務システムへのシンクライアント導入による、安心・安全な業務受発注の実現です。
現在の一般的なSOHOでは、作業者が所有している個人のパソコンで作業を行っているケースがほとんどです。そのため、個人のセキュリティ対策が不十分でウィルスなどに感染してしまうと、たちどころに業務情報の漏えいといった深刻なセキュリティ事故につながる危険性があります。
そこで、「SOHO作業者にシンクライアントを配布し、SOHOの業務をシンクライアントを活用して実施する」という取り組みを実験しました。ご存知のとおり、シンクライアントはハードディスクを持たず、端末上には一切情報を残さないシステムです。個人のパソコンの代わりにシンクライアント上で作業をしてもらえば情報漏えいの心配はなく、かつSOHO間で画一的なセキュリティレベルを保てるため、自治体や企業も安心して業務を委託できると考えます。
このような仕組みは、将来的には業務の受発注を仲介するエージェントがシンクライアントシステムを提供したり、シンクライアントのサービスを提供するASP型のサービス提供会社が現れたり、といった形で実用化されることを想定しています。

2点目は運用上の仕組みの検証で、「エージェント連携型テレワーク実験」と呼ばれるものです。
これまでのSOHOは「ジョブマッチングがうまくいかない」という悩ましい課題を抱えていました。SOHOで働いている方々は、それぞれ優れた専門能力をお持ちなのですが、発注元となる企業などに対して「私はこういう能力に長けています」とPRする機会があまりありません。そのため、優れた人材が有効活用されないという悩みもあったようです。
そこで、「地域テレワークエージェント」の導入を検討しました。地域テレワークエージェントとは、業務の発注者(自治体や民間企業)と受注者(SOHOのテレワーカー)の双方を橋渡しする組織です。エージェントは、複数の発注先からの業務を受注し、業務内容に応じて最適なスキルを持つテレワーカーたちに作業を分担します。また、業務における構成管理や品質チェックといった作業も取りまとめます。このような仕組みで、業務と人材との最適なマッチングを図っていこうというのが、この取り組みの概要です。
今回の実験では、平成19年4月に設立された岡山SOHOビジネス協議会という組織に、地域テレワークエージェントの業務を担ってもらい、エージェント機能の有効性について検証しました。

以上のように、技術/運用の両面で、テレワークが産業振興や地域活性化に寄与する効果を検証しています。

*1
SOHO(Small Office Home Office)
インターネットを中心としたITの技術を活用し、単独または少人数で自宅や郊外の事務所から仕事や事業を展開するスタイルのこと。

(2008年3月10日取材)

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