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第1回 テレワークを取り巻く現状

1. そもそも「テレワーク」とはどんなもの?

「テレワークは、『いつでもどこでも、好きな場所で仕事ができる』という働き方です」

日立:
近年「テレワーク」という労働スタイルに注目が集まっています。いわゆる在宅ワークの一種であるということは認知されていると思うのですが、具体的にどのような働き方なのか、詳しく教えていただけないでしょうか。

[写真]総務省 情報通信政策局 情報流通高度化推進室 藤本昌彦室長

藤本室長:
テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない労働スタイルのことを指します。端的に言ってしまえば、「いつでもどこでも、好きな場所で仕事ができる」という働き方です。
一般家庭にブロードバンドが普及し、今や自宅でも職場にいるのと変わらない環境でインターネットにアクセスできますよね。このようなネットワークインフラを活用した在宅のテレワークというのが、まず一つの形態として考えられます。
ただし、テレワークは「在宅勤務」「在宅ワーク」だけに留まる話ではありません。最近では、モバイル(移動体通信)の分野でもどんどんブロードバンド化が進んでおり、いわゆる「モバイルワーク」と呼ばれるような、移動しながら仕事をするという労働スタイルも普及しつつあります。これもテレワークの一種です。
このようなITを活用して場所と時間を自由に使った柔軟な労働スタイルの総称が「テレワーク」ということになります。

図 テレワークの分類(出典:総務省)
[イメージ]テレワークの分類

日立:
移動しながら仕事ができると、まさに「いつでもどこでも」ですね。ユビキタス社会(*1)とも親和性が高そうです。

藤本室長:
そうですね。ユビキタスネットワークが実現したとき、テレワークはその恩恵を最も受けられる分野の一つだと思っています。

*1
ユビキタス社会
「いつでも」「どこでも」ネットワークを介して接続し、さまざまなサービスを享受できるような社会。

2. 「テレワーク」普及促進の背景について

「働く能力は有しているけれども、通勤困難なためにどうしても働きに出られない…という方は、現在でもたくさんいます。テレワークが普及すれば、そのような方々が自宅にいながら仕事をする機会を得られるのです」

日立:
総務省では、現在テレワークの普及促進に向けたさまざまな取り組みをされていると伺っています。国として普及に取り組むことには、何か社会的な背景があるのでしょうか。

藤本室長:
ご存知のとおり、わが国は現在急激な少子高齢化に直面しています。日本の総人口は2004年をピークに減少しており、今後は60歳以下の労働者人口の不足が顕著になっていくと見られています。
一方で経済の分野に目を向けますと、グローバル化の加速によって多くの企業が国際競争の波にさらされています。これに立ち向かうには、各企業が優秀な人材を確保し、競争力を高めていくことが不可欠なのですが、先ほど述べたとおり、労働者人口は今後減少する一方です。
これまでの時代であれば、「とにかく採用を増やそう」という考え方でもある程度人材は確保できたのですが、今後は通用しないでしょう。何しろ、人を確保しようにも労働者の絶対数がどんどん減少していくわけですから。

日立:
深刻な問題ですね。

藤本室長:
この状況を救う一つの解が「テレワーク」ではないかな、と我々は考えているのです。
働く能力は有しているけれども、通勤困難なためにどうしても働きに出られない…という方は、現在でもたくさんいます。テレワークが普及すれば、そのような方々が自宅にいながら仕事をする機会を得られるのです。これは、国内にまったく新しい、優秀な労働者層が突然現れるのと同じことです。
このような潜在的な労働力をフル活用するためには、テレワークはなくてはならないものでしょう。

日立:
先ほど「通勤困難なために働きに出られない方々」と仰られましたが、真っ先に思いつくのは出産/育児中の方です。

[写真]システム開発エンジニアとして在宅勤務で働く方
システム開発エンジニアとして在宅勤務で働く方。
在宅勤務により子供たちとの関係がより深化。
また、出産後も安心して職場復帰が可能に。
(写真協力:(株)ジャパンパーソナルコンピュータ)

藤本室長:
そうですね。一線で活躍していた若い人たちが、出産/育児のためにやむをえず仕事を辞めたり、休んだりということは、これまでたくさんあったと思います。また、ご苦労をされながら、保育所などに子どもを預けて働きに出ている方も大勢いらっしゃいます。このような方たちに「在宅で育児もしながら仕事ができる」環境を提供できれば、大きなメリットになると考えます。

また、出産/育児と並んで、今後の高齢化社会で避けて通れないのは介護です。
このまま高齢化が進めば、在宅で介護をされる方はますます増加するでしょう。そのとき、テレワークがあれば家にいながら仕事ができるのです。このように、介護のために休職/退職を余儀なくされていたような方々も、テレワークによって仕事を続けられる可能性が生まれます。

[写真]在宅でコールセンター業務を行うシニア層の方
在宅でコールセンター業務を行うシニア層の方。
(写真協力:NTTコムチェオ(株))

さらに、高齢者の方々の再就労にも活躍するのではないかと考えています。
一度リタイアした高齢者の中には、働く能力や意欲に富んだ方もたくさんいます。ただ、毎日満員電車に揺られて通勤し、若い社員に混じって精力的に走り回れ、となると、肉体的に不安を覚えるのではないでしょうか。そんな方たちにテレワークを活用してもらえれば、自宅にいながら働くことができ、有効なのではないかと思います。

[写真]在宅でソフト開発をされている障がい者の方
在宅でIT講習事業を受け、7年間在宅で
就労(ソフト開発)を実現されている方。
(写真協力:社会福祉法人 東京コロニー
 職能開発室)

それと、障がいをお持ちでどうしても通勤が難しい方々にも、有効に活用いただけると思います。
企業の方からも、「障がい者を雇用したいのは山々だが、施設のバリアフリー化に投資する余力がなくて…」という話を耳にすることがあります。テレワークを使って在宅で仕事をしていただけば、このような問題も解決するのです。このように働く側/働いてもらう側双方にメリットがあるという意味で、大変有効だと考えます。

3. 「通勤がなくなる」「在宅で仕事ができる」ことのメリットとは

「近年、ワークライフバランスの重要性が唱えられていますが、テレワークがその実現を支援できるのではないかと考えています」

日立:
通勤とはちょっと違いますが、「在宅で仕事ができる」という意味では、地方在住の方にとっても嬉しいことですね。

藤本室長:
地方に住んでいるためなかなか仕事がない、という話は昔からよく聞きますが、近年のインターネットの普及や社会構造の変革によって、現在では地方にいながら、さまざまな仕事を請け負えるようになってきています。例えばWebページの制作やゲームソフトの開発といったような、プログラム開発に類するような業務は、すでに地方にいながらできるのです。
このようにICTを用いて仕事を受発注する形態を「自営型テレワーク」と呼んでいますが、このようなテレワークの活用は、働き盛りの世代の地域定住にも貢献すると考えています。かつてのように若者が職を求め、集団就職でどっと都会に出ていくような産業構造ではなく、地域に密着しながら働ける時代というのが始まりつつあるのではないでしょうか。

日立:
都市部に住んでいる方にとっても、在宅で仕事ができれば、通勤時間をほかのことに充てられます。

[写真]総務省 情報通信政策局 情報流通高度化推進室 藤本昌彦室長

藤本室長:
ええ。通勤のストレスから解放され、空いた時間をご自分の趣味などに充てれば、これまで仕事中心になりがちだった生活を見直すことも可能でしょう。近年、ワークライフバランスの重要性が唱えられていますが、テレワークがその実現を支援できるのではないかと考えています。

日立:
そのほかに考えられる、テレワークのメリットはありますか。

藤本室長:
そうですね。テレワークによって通勤する人が減少すれば、移動手段として利用されてきた自動車などからのCO2(二酸化炭素)排出を削減できます。このようなテレワーク導入による環境への貢献というのは、現在大きく注目されており、政府などの活動と連携して進めています。
良い機会なのでご紹介しますが、わが国ではちょうど現在、京都議定書の目標達成計画を見直ししている最中です。その中で、まさに先ほど述べた「テレワーク人口を倍増し、普及を推進することによってCO2排出を削減する」という施策が記載されることになっているのです。
総務省では、以前からテレワーク推進による地球環境への貢献を訴え続けてきたのですが、今回政府全体の取り組みに本格的に盛り込まれたという状況です。

日立:
テレワークのようなICTを活用した環境貢献への取り組みというのは、社会全体の流れのように感じます。

藤本室長:
仰るとおりです。このようなICTによる環境貢献の取り組みは国内だけでなく世界的に注目され始めており、今年はさまざまな国際会議がスタートしています。
特に重要な取り組みをかいつまんでご紹介しますと、国連の専門機関である国際電気通信連合(ITU)という組織が、情報通信分野の環境への貢献に関するさまざまな目標設定、国際的なルール策定、標準化といった活動に着手しようとしています。そのキックオフとして、日本ではこの4月に「気候変動とICTに関するシンポジウム」という会議が京都で開催される予定です。

日立:
なるほど。テレワークの推進は、日本だけでなく国際的な動向にも後押しされているということですね。

(2008年3月10日取材)

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